al.ni.co(アルニコ)上杉 昇 [Show Wesugi] (vo) 柴崎 浩 [Hiroshi Shibasaki] (g) about (記:2003/03/03) 元WANDSのヴォーカリスト上杉昇とギタリスト柴崎浩の2人によるユニット。96年、前期の楽曲からのベスト盤を発表し、WANDSはニューアルバム制作期間に入った。当時のインタビューからも窺えるように、そのアルバムは「PIECE OF MY SOUL」の方向性を突き詰めた、正にWANDSの最高傑作アルバムとなるはずであったが、上杉は「元々WANDSというグループが持っていたイメージと、これから自分がやろうとしている音楽との間に大きな隔たりがあり、このまま続けるのはファンに対してもフェアでないと思った」としてWANDSを脱退。続いて柴崎も「上杉なしのWANDSのvisionは浮かばない」とWANDSを脱退。二人は別々に活動する予定であったが、お互いに「今までとはまた違う関係性」が生まれ、再び二人でやっていくこととなり、al.ni.coが結成された。 al.ni.coは98年3月にデビューし、3枚のシングルを経て、99年、上杉自身が「純度100%のロックアルバム」「思い残すことがひとつ減った」というファーストアルバム「セイレン」を発表。アルバムをうけてのツアーも行ったがツアー終了後は柴崎がソロ作品に着手したこともあり、活動を休止。二人の音楽性の違いにより2001年解散した。 al.ni.coは、僕にとって今のところ生涯最高のアーティストです。解散は邦楽界の大きな損失だと思う。二人にしか作れない音楽の片鱗を見てしまっているので、本当に残念としか言いようがない。上杉さんが言うところの「ネオ・パンク」というものに、非常な期待をしたものでした。当時、僕は高校生でその時の自分の状況とか周りの友人とか、そういう要素もあるんでしょうが、本当に夢中になりました。これはタブーでしょうが、、、柴崎さんが数年後、WANDSを脱退した時感じられたような「上杉のいないヴィジョンは考えられなかった」という気持ちを思い出してもらいたいと、勝手に(あくまで勝手にね)思っています。 | ||||||||||
Discography (記:2003/03/03、追:03/12/30, 05/11/12, 06/02/28) 1st Maxi Single TOY$! (98.3.21) 声で壊す 声で創る al.ni.co始動。
単純なメロディをこういった独特の世界観に仕上げる声は、正に唯一無二だ。凄すぎる。この曲を聴いて、「(voとgの二人組で)これでますますB'zみたいやな」とぬかしていた友達が黙りこくってしまった(笑)。後半、渦を巻くように盛り上がっていくアレンジも最高。 カップリング2曲は、曲もいいが詞が素晴らしい。非常に好き。(3)はデモ音源で、初め聴いたときは本当に上杉が歌ってんのかな、と思った(笑)。99年のライブでは完成形が披露され、上杉ソロライブでもよく歌われている。8年弱を経て、上杉昇ソロアルバム「Blackout in the Galaxy」にて待望のスタジオヴァージョンが作られた。 2nd Maxi Single 晴れた終わり (98.11.11) al.ni.coは、21世紀のヴォーカル・ミュージックを予言する。
現時点で、上杉昇が歌った曲では僕が一番好きな曲かもしれない(一番カッコイイ曲、となると下記の曲になる)。当時、al.ni.coは僕には何から何までカッコよく見え、発売前の期待も相当なものだったが、そんな自分の期待・想像をはるかに上回った作品。CD買って飛んで帰って、アコギのイントロからチェロが入り、しばらくしたらチェロがすげえフレーズを奏でだしてグアーーーーッときて(うまく書けん 笑)、第一声の「I know〜」を聴いたとき走った衝撃を、僕は忘れない。人が死を迎える際の心境を描いたと言えそうな詞の世界観も、メロディやオケが持つスケール感も、すべてが「巨大」な曲。「98年はこの曲ばかりやっていた」という柴崎による、緻密に練り上げられたサウンドも凄まじい。ギターソロも圧巻。al.ni.coが語られる際「グランジ」「NIRVANA」という言葉がまるで枕詞のようについてまわるが、この曲を聴いてもそんな言葉で片付けられるのか、と。 僕自身もこの曲には多くの思い出があって、聴くと色んなことを思い出すし、考える。とても思い入れのある曲です。「長く残るものであってほしい」「10年後にも聴いてほしい」というのは発売当初の本人達の弁だが、まず確実に僕は死ぬまで聴き続けるだろう。 (2)はal.ni.co結成以前に上杉ソロをやろうとしていたときの曲。アレンジは現Ra:INのミチアキ。アレンジはそのまま、ギターを柴崎が弾いたものに差し替えたとのこと。 3rd Maxi Single カナリア (99.1.21) より激しさが渦巻く、クールで危険な刺激! 〜第1ステージに向け 3rd Maxi Single 遂に完成!
(2)はal.ni.coで唯一の柴崎の曲。WANDS時代のような華やかなメロディを持った曲ではなく、al.ni.coの楽曲として違和感はない。リズム楽器を入れず、エレキギターのみで表現された世界。静かなる狂気、といったところか。(3)は野外録音の曲。「ゆず」に対抗した「うに」というユニットの曲なんだそうだ(笑)。 1st Album セイレン (99.3.3) 瞳の奥にある無表情達へ捧ぐ
「Prologue」から始まって「Prayer」まで10曲。上杉昇の日本最高水準の超絶ヴォーカル、聴き手に安易に解釈させない歌詞。ありがちな「オルタナロック」に終わらない凝ったアレンジは、WANDS時代に歌謡ポップス的なものからハードロック調のものまで様々な楽曲を作曲してきた柴崎浩ならではの成せる業だったのではないだろうか。(1)(4)(8)(9)を始め、ほとんどの曲が独特の雰囲気を醸し出している。アメリカ的であったりアジア的であったりと、多国籍な印象を受ける。二人が目指した「どこにもない、新しいロック」の原型がこのアルバムには確かにあった。柴崎自身も「これはプロトタイプにすぎない」と語っていたように…。al.ni.coは原型を見せただけで終わってしまった。何度も言うがほんとうに残念。 10曲目終了後、無音部分を経て「Fuck.Rock.Suck」と名づけられた上杉作の曲(音?)がシークレットトラックとして収録されている。轟音とノイズで構成されており、何を歌っているかを聴き取ることは難しいし、また内容についてはご本人曰く「言ったら面白くないじゃん」とのことで明かされていない。個人的には、(7)〜(10)の流れで、心地よい音世界にうとうとしてしまい、この曲で飛び起こされた経験が何度もある(笑)。 VHS 1998-1999 Memories (2001) 当時の雑誌インタビューでも語られていたことだが、WANDSのLIVE JUNK#2以来4年ぶりのライブということもあってかCD音源にあるような圧倒的なものは感じられず、ヴォーカルは3曲とも不安定で観ていて厳しいものがある。他の映像も含め資料的な価値はあるものの、何度も繰り返し観るような代物ではないかもしれない。 |
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